ナノテクが実現する量子アニーリング
15:00-15:45

NEC

中央研究所

理事

中村 祐一

【講演者プロフィール】

中村祐一 1988年NEC入社、以後25年に渡って組合せ最適化問題の塊であるLSIの設計自動化の研究開発に従事、2018年よりNEC中央研究所理事、量子コンピュータを含む、NECのコンピューティングシステム全体の研究開発を統括。博士(工学)

【講演概要】

社会課題の多くは、様々な条件下で最適な組合せを選択することと深く関わっています。例として、時々刻々変化する市場に対応した金融ポートフォーリオ最適化、配送需要と交通渋滞を考慮した配送経路の選択などが挙げられます。これらを圧倒的に短い時間で解決するコンピュータ、量子アニーリングマシンが注目を浴びています。しかし、量子アニーリングマシンが解決できる組合せ問題の規模は極めて小さいのが現状であり、実社会の課題を解決できるような規模を実現するためには飛躍的な技術革新が必要です。NECは1999年に量子コンピュータの基本要素である固体量子ビットの動作に世界で初めて成功し、20年にわたるナノテクノロジーに基づく技術蓄積を持っています。この技術蓄積を使い、まったく新しい概念の量子アニーリングマシンの開発を開始しました。本講演では、世界の量子コンピュータの研究開発状況とNECが目指す量子アニーリングについてご説明します。